2011年11月28日

小さな友達

広く遠い海をヒザを抱えてボーっと見続けるサクラ。
屋根へ出る為の扉が「バン!」と開く。

「なんだぁ〜!サクラ、やっぱりここかぁ〜」13歳くらいの男の子が屋根から落ちない様にと気を付けながらサクラの元へ辿りつく。

「ああ…。どした?」まだボーっとしているサクラ。
「いや遊ぼうと思って…って…またあのタロってヤツと会ってたの?」
ビシ!!!!サクラのチョップが男の子の脳天を直撃。
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「うごぉぉぉおおお!いってぇ!!何すんのー!」ちょっと半泣き。
「ヤツとか言うな!タロさんって言え!タロさんて!」スパルタ教育サクラ。

「ぐむむむ……何?そんなにスゴイの?タロ……タロさんって…」
「スゴイよ。少なくともアタシは最高にスゴイ人だと思ってる。」自信満々に言う。
「何した人なの?」素朴な疑問をぶつける男の子。
「代々スゴイ事してるみたいだけど、タロさんは…なんか違うんだ…
 普通の人の悩みでも真剣に聞いてくれるっていうか…
 本当だったらこんな一市民の事なんて聞いてたらキリ無いだろ?
 だけど違う…タロさんは、、自分を犠牲にしてまでも守ろうとする人…」

「犠牲?」
posted by taroc at 19:09| Comment(0) | TAROTSTORY | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月21日

補う

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「……何かを被せる…?…何の意味が……」困惑するタロ。
「だよね〜、絶対目くらましとかの意味じゃないよね。古典的過ぎて。」

「被せる意味…被せる必要性…。。」
「アタシそれ昨日からずっと考えてたんだけどさー、魔法力高い人と
 戦うとするじゃん?そしたらやっぱ魔法でどうにかされちゃうでしょ?
 するってーと、魔法使えなくすりゃ対等に戦えるっしょ?
 だから、その為にそーゆー事してるとしか考えられないんだよね〜。
 だって今時後ろから何か被せられるだけで魔法力強い大人がだよ?
 さらわれたりしないもんね、絶対。」
「魔法を使えなくする………魔法力を………」

何かに気づいたタロはスクッと立ち上がる。
「うぉ!?どったの?タロさん(゚Д゚;;)」ビックリするサクラ。

「サクラの思考力には驚かされます。
 いや、私の頭が悪すぎるといった方が良いのかな…?」
「アタシは頭良くなんてないよ。
 ただ、タロさんは今色々な事を考えすぎて気づかないだけだと思うな☆
 それを気づかせてあげられる様、協力が出来るならアタシは嬉しい(^〜^)」

「ありがとう。」
「タロさん!………あの…気を付けて…」少し心配な顔をするサクラ。

「?……ええ、それでは…また…。」そういうとタロは消えていった…
posted by taroc at 13:58| Comment(0) | TAROTSTORY | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月14日

情報屋

翌日の昼に差し掛かる頃。。
港町テサロでは朝の賑わいがウソの様にゆっくりとした時間が流れていた。
情報屋サクラは普段は宿屋のカウンターを任されている。
『情報屋』というのは裏の顔なのである。

やはり宿屋の客というのは夜が多い。
朝に近い昼などは暇で暇でしょうがない程客は来ない為、隙あらば屋根でお昼寝コースとなってしまうのである。
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カウンターで魂の抜けそうな程ボーッとした顔のサクラは、たまらず屋根に逃げようと立ち上がった所に客が来た。
「チッ…」そう心の中で舌打ちをしてみたものの、良く見ればタロである。

「ぅああ!(゚∀゚;)タロさん!」一気に目が覚めるサクラ。
「おはようございます。今日は屋根では無いんですね」そう言って笑う。
「あ…。あと少し後だったら…多分屋根に居たよ…」枯れた笑いでごまかす。
「今、お時間宜しいですか?」
「へっへっへ。屋根でのお昼寝コースなら承りま〜っすΨ(`∀´)Ψ」
そう言って笑いながら屋根へと移動する。

「短い時間でしたが、何か情報はありましたか?」問うタロ。
「そうそう、あれからね夜は酒場・朝は港で聞いて回ったんだけどさ、
 ちょっと面白い話があったんだよね。」
「……面白い話とは…?」慎重に聞き返す。
「何かね、そのさらわれた現場を目撃した人が居て…
 それも大人がさらわれてる方の!やっぱり少年一人だったみたい。」
「…やはり行動しているのは少年一人…」

「んでね、ここからが問題。そのさらい方が変わってんの!
 ………後方から何かを被せてさらってたんだって!」
posted by taroc at 11:06| Comment(0) | TAROTSTORY | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする