港町テサロでは朝の賑わいがウソの様にゆっくりとした時間が流れていた。
情報屋サクラは普段は宿屋のカウンターを任されている。
『情報屋』というのは裏の顔なのである。
やはり宿屋の客というのは夜が多い。
朝に近い昼などは暇で暇でしょうがない程客は来ない為、隙あらば屋根でお昼寝コースとなってしまうのである。
カウンターで魂の抜けそうな程ボーッとした顔のサクラは、たまらず屋根に逃げようと立ち上がった所に客が来た。
「チッ…」そう心の中で舌打ちをしてみたものの、良く見ればタロである。
「ぅああ!(゚∀゚;)タロさん!」一気に目が覚めるサクラ。
「おはようございます。今日は屋根では無いんですね」そう言って笑う。
「あ…。あと少し後だったら…多分屋根に居たよ…」枯れた笑いでごまかす。
「今、お時間宜しいですか?」
「へっへっへ。屋根でのお昼寝コースなら承りま〜っすΨ(`∀´)Ψ」
そう言って笑いながら屋根へと移動する。
「短い時間でしたが、何か情報はありましたか?」問うタロ。
「そうそう、あれからね夜は酒場・朝は港で聞いて回ったんだけどさ、
ちょっと面白い話があったんだよね。」
「……面白い話とは…?」慎重に聞き返す。
「何かね、そのさらわれた現場を目撃した人が居て…
それも大人がさらわれてる方の!やっぱり少年一人だったみたい。」
「…やはり行動しているのは少年一人…」
「んでね、ここからが問題。そのさらい方が変わってんの!
………後方から何かを被せてさらってたんだって!」