2010年09月27日

あるモノ。

「おやすみなさぁ〜い」
アンディを部屋に送り届けたセレン。
居間には先程とは違った張りつめた空気が流れていた。

「あの…お話というのはアンディの事なんですか?」おずおずと聞くセレン。

「ええ…。
 セレンさん、魔法力の高い子供が
 度々連れ去られているという事件をご存じですか?」

ここ最近、全世界から次々と子供が居なくなっているという事件が相次いでいる。
詳しく調べた所、全ての子供が普通の子供よりもはるかに魔法力が高かったという事が分かったのである。

「はい…それで…アンディが?」
「そうです…。アンディもここ数日、魔法力の上昇が桁外れなんです。」

神妙な面持ちになるセレンに、タロは何かを手渡す。
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「あの…これは…?」
「Tシャツです。私が少し細工を施したモノなんですが…」


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2010年10月01日

親子の愛

タロから渡されたTシャツには「一定量の魔法力」を保つ様に施されていた。
魔法力が高いと察知されない為の手段として試作段階で用意されたモノである。

「まだこれで全てを隠しきれるとは思ってはいませんが、なるべく早く手を打っておいた方が良いと思って…」

少し緊張の取れた表情に変わるセレン。
「あの…本当にありがとうございます…なんとお礼を言っていいのか…」
「いえいえ、私こそいつもご馳走してもらっているので…。
 それに、アンディは人懐っこい性格ですから…弟の様に可愛いんですよ。。」

そのタロの言葉を聞き、少し寂し気な表情に戻る…
「そう言ってもらえて…あの子も喜ぶと思います。。
 あの人が亡くなってから、あの子…私に気を遣ってか、
 いつも笑顔でいてくれるんです。。」
「ええ、あの子はとても強い子ですよ。」

アンディとタロに励まされたセレンは、笑顔を作り直す。
「だからご飯もつい3人分作ってしまうんです☆(^v^*)
 …なので、いつでもいらして下さいね♪」
「ええ、ありがとうございます。…それではまた、おやすみなさい」
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2010年10月07日

デルフュの夜

もう子供達も寝てしまった時間…人は殆どおらず、町も静まりかえっていた。
しかしタロは、かすかに感じる気配が気になっていた…

振り向いたと同時に問う。
「君、この町の子ではないだろう?こんな夜遅くに一人で何をしている?」

暗闇の中からオドオドと姿を見せたのは14.5歳くらいの少年であった。
「あの…ボク。。旅をしていて、隣町に行きたいんですけど…
 今日やっとこの町まで来て…宿屋を探してるんです。
 でも人一人も居ないし、、この町広いから何処が宿屋か分からなくて…」

どうやら一人旅の少年が宿屋を探していたらしい。
タロは宿屋までその子を連れて行った。
「親父さん、この子一人らしいのですが、安くしてやってくれませんか?」

気前の良さそうな主人は笑顔で答えた。
「ええ♪タロ様がそう言うなら、おやすいご用ですよ☆
 ほら、坊主。こっちに来な〜(^皿^)ノ」
ペコリと一礼をした後、少年は部屋に案内されていった。
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タロはさっきの気配が少年のモノだったのか確信が持てないまま家路へ急いだ…
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